
「いつでも採れたての薬味が欲しい!」と思って、室内で大葉(青じそ)を育て始めたのに、なんだか元気がなかったり、葉が黄色くなってきたり…。「どうしてうちの大葉は育たないんだろう?」と悩んでいませんか?
手軽に始められるイメージのある大葉の室内栽培ですが、実はちょっとしたコツを知らないと、意外と失敗しやすいものです。でも、ご安心ください。大葉が元気をなくす原因は、いくつかの基本的なポイントに絞られます。
この記事では、室内で大葉が育たない主な原因を5つのチェックポイントに分け、それぞれの具体的な解決策を分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの大葉が元気を取り戻し、次々と美味しい葉を収穫できるようになるはずです。
室内で大葉が育たない5つの主な原因

「日当たりは良いはずなのに」「水も毎日あげているのに」…良かれと思ってやっているお世話が、実は大葉にとってはストレスになっているのかもしれません。まずは、ありがちな5つの原因をチェックしてみましょう。
原因1: 日照不足

大葉は日光が大好きな植物です。生育には、最低でも1日に5〜6時間以上の日光が必要とされています。室内では、たとえ窓際に置いていても、屋外に比べて光の量が絶対的に不足しがちです。
- こんな症状はありませんか?
- 茎がひょろひょろと間延びしている(徒長)
- 葉の色が薄い黄緑色になっている
- 葉が小さく、あまり増えない
これらは典型的な日照不足のサインです。植物は光を求めて上に伸びようとするため、光が足りないと茎ばかりがひょろ長く育ってしまいます。
原因2: 水やりの問題(やりすぎ・不足)
初心者の方が最も陥りやすいのが、水やりの失敗です。「可愛いから」「乾くのが心配だから」と毎日水を与えてしまうのは逆効果。常に土が湿っている状態だと、根が呼吸できずに腐ってしまう「根腐れ」を起こします。
一方で、水が不足すると葉がしおれてしまいます。
- こんな症状はありませんか?
- 【やりすぎの場合】
土が常にジメジメしている、葉が黄色く変色して落ちる、根元から腐ったような臭いがする - 【不足の場合】
葉全体がぐったりと垂れ下がっている、葉先が乾燥してチリチリになっている
- 【やりすぎの場合】
水やりは、多すぎても少なすぎても大葉の成長を妨げる大きな原因となります。
原因3: 風通しの悪さ
屋外と違い、室内は空気がこもりやすい環境です。風通しが悪いと、土の表面が乾きにくくなり過湿状態を招きます。
また、空気が停滞することで、病原菌が繁殖しやすくなったり、株が弱って抵抗力が低下し、結果としてハダニなどの害虫や病気にかかりやすくなることがあります。特に、ハダニは乾燥した環境を好むため、風通しが悪くても株の健康状態が悪いと発生しやすくなります。
原因4: 根詰まり
購入したときの小さなポットのまま育てていませんか?大葉は生育旺盛で、思った以上に根を張ります。鉢の中で根がいっぱいになってしまうと、それ以上成長するためのスペースがなくなり、水分や養分をうまく吸収できなくなってしまいます。これが「根詰まり」の状態です。
- チェックポイント
- 鉢の底の穴から根が見えている
- 土の表面に根が浮き出てきている
- 水を与えても、土にしみ込んでいくのが遅い
これらに当てはまる場合、根詰まりを起こしている可能性が高いです。
原因5: 肥料の過不足
大葉は比較的丈夫な植物ですが、室内で鉢植えで育てる場合、土の中の栄養は限られています。収穫を続けていると、だんだんと栄養が不足し、葉の色が薄くなったり、新しい芽が出にくくなったりします。
逆に、元気に育てたいからと肥料をあげすぎるのも問題です。濃度が高すぎたり、頻度が多すぎたりすると「肥料焼け」を起こし、根を傷めてしまい、かえって株を弱らせる原因になります。
室内栽培の大葉を復活させる具体的な育て方
原因がわかったら、次はいよいよ対策です。それぞれの原因に合わせて、今日からできる具体的な改善方法をご紹介します。
対策1: 置き場所を見直そう(日照不足の解消)

まずは、大葉にとってベストな環境を用意してあげましょう。
- 基本は「南向きの窓辺」
最も日当たりの良い、南向きの窓辺に移動させてください。もし難しい場合は、東向きや西向きの窓辺でも構いません。レースのカーテン越しなど、直射日光が強すぎる場合は葉が焼けてしまう(葉焼け)ことがあるので、光の加減を調整しましょう。 - 植物育成ライトの活用
どうしても日当たりの良い場所が確保できない場合は、「植物育成ライト」を使うのが非常に効果的です。タイマー付きのものを選べば、毎日決まった時間に光を当てることができ、安定した生育環境を作れます。
対策2: 正しい水やりをマスター(水の管理)
水やりは「メリハリ」が重要です。以下の基本を徹底しましょう。
- タイミング: 土の表面が乾いたら
- 量: 鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと
指で土を触ってみて、乾いているのを確認してから水やりをします。そして、一度あげるときは、鉢の中の古い空気を押し出すイメージで、鉢底から水がしっかり流れ出るまで与えます。
【最重要ポイント】
受け皿に溜まった水は、必ず毎回捨ててください。溜まった水をそのままにしておくと、根が常に水に浸かった状態になり、根腐れの原因になります。
対策3: 空気の流れを作ろう(風通しの改善)
室内の空気を動かして、病害虫を防ぎましょう。
- 定期的な換気: 天気の良い日は窓を開けて、新鮮な空気を取り込みましょう。
- サーキュレーターの活用: 扇風機やサーキュレーターの弱い風を、植物に直接当たらないように、少し離れた場所から首振りで送るのも効果的です。空気が循環し、土の過湿を防ぎます。
対策4: 一回り大きな鉢へ植え替え(根詰まりの解消)
根詰まりのサインが見られたら、植え替えのタイミングです。窮屈な場所から、のびのびと成長できる新しいお家へ引っ越しさせてあげましょう。
- タイミング: 生育期である春(4月〜6月)か、秋(9月)が最適です。
- 手順:
- 今の鉢より一回り(直径で3cm程度)大きな鉢と、新しい培養土(野菜用やハーブ用でOK)を用意します。
- 大葉の株を鉢からそっと引き抜きます。
- 固まった根鉢の肩や底の土を、3分の1程度優しく手でほぐします。
- 新しい鉢に株を置き、隙間に新しい土を入れて植え付けます。
- 最後に、鉢底から水が流れるまでたっぷりと水を与えます。
対策5: 適切なタイミングで栄養補給(肥料の管理)
植え替え直後や、買ってきたばかりの苗は、土に栄養が含まれているため、すぐには肥料は必要ありません。
- タイミング: 植え付けや植え替えから2〜3週間後、生育が安定してきたらスタートします。
- 与え方:
- 液体肥料の場合: 最も手軽でおすすめです。規定の倍率(500倍〜1000倍が一般的)に水で薄めたものを、1〜2週間に1回のペースで、水やりの代わりに与えます。
- 固形肥料の場合: ゆっくりと効果が続くタイプ(緩効性肥料)を、製品の指示に従って土の上に置きます。
室内で大葉を元気に育てるための+αのヒント
基本の育て方を押さえたら、次はもっとたくさんの葉を収穫するための応用テクニックです。
ヒント1: 摘心(てきしん)で収穫量アップ!

大葉の草丈が15cm〜20cmくらいに育ったら、一番上の中心の芽(生長点)を指やハサミで摘み取ります。これを「摘心(てきしん)」と言います。
頂点の芽を摘むことで、植物は脇から新しい芽をどんどん出すようになります。その結果、枝数が増えてこんもりとした株に育ち、収穫できる葉の数が格段に増えます。
ヒント2: 害虫対策は早めに
室内でも、窓や衣服について害虫が侵入することがあります。特に注意したいのが、葉の裏にびっしりとつく「ハダニ」や「アブラムシ」です。
- 葉水(はみず): 霧吹きで葉の表裏に水をかける「葉水」は、ハダニの予防に効果的です。乾燥を防ぐ効果もあります。
- 早期発見・駆除: 害虫を見つけたら、数が少ないうちはセロハンテープなどで貼り付けて取るか、濡らしたティッシュで拭き取ります。
ヒント3: 種から?苗から?初心者におすすめは?
これから大葉の栽培を始めるなら、断然「苗」からスタートするのがおすすめです。ある程度育った状態から始められるので失敗が少なく、すぐに収穫を楽しめます。
種から育てるのも楽しいですが、発芽させるのに少しコツがいるため、まずは苗で栽培に慣れてから挑戦してみると良いでしょう。
まとめ
今回は、室内で大葉が育たない原因と、その対策について詳しく解説しました。
【室内で大葉が育たない5大原因】
- 日照不足
- 水やりの問題(やりすぎ・不足)
- 風通しの悪さ
- 根詰まり
- 肥料の過不足
もしあなたの大葉の元気がなくても、諦めるのはまだ早いです。この記事で紹介したチェックポイントを見直し、一つひとつ丁寧に対処してあげることで、きっとまた元気に葉を茂らせてくれるはずです。
正しいお世話のコツを掴んで、採れたての爽やかな香りをお料理に添える、そんな素敵なグリーンライフを楽しんでください。
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