
「お部屋に植物を取り入れたいけど、置く場所がない…」
「何かユニークでおしゃれな植物を飾りたい」
そんなふうに感じていませんか?
まるで緑のカーテンのように繊細な茎を垂らす「リプサリス」は、そんなあなたの願いを叶えてくれるかもしれません。特にハンギング(吊るす)で楽しむスタイルは、空間を立体的に彩り、一気におしゃれな雰囲気にしてくれます。
しかし、「育て方が難しそう」「どうやって吊るせばいいのかわからない」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事では、リプサリスの基本的な育て方から、誰でも簡単にできるおしゃれな吊るし方のコツ、日々の管理方法まで、読者の皆様が知りたい情報を網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたも今日からリプサリスを素敵に吊るして、グリーンのある暮らしを存分に楽しめるようになるはずです。
そもそもリプサリスってどんな植物?

リプサリスは、実はサボテンの仲間です。しかし、私たちがよくイメージする砂漠に生えるトゲトゲしたサボテンとは少し違い、「森林性サボテン」や「着生サボテン」と呼ばれています。
- 自生地: 中南米の熱帯雨林など
- 特徴: トゲはほとんどなく、多肉質で紐状や棒状の茎が垂れ下がるように成長します。原産地では、他の樹木の幹や岩などに根を張って生きています。
- 多様な品種: 細い糸のような「カッスーサ」、平たくてギザギザした「ラムローサ」、米粒のような節が連なる「ホリダ」など、非常に多くの品種があり、それぞれに個性的な魅力があります。
このような特徴から、鉢植えで垂れ下がる姿を楽しむのはもちろん、ハンギングプランターで「吊るす」スタイルに最適な植物として人気を集めています。
リプサリスを上手に育てるための基本
リプサリスを元気に育てるための基本は、本来の自生地である「熱帯雨林の木陰」をイメージすることです。以下の4つのポイントを押さえましょう。
置き場所・日当たり
リプサリスは、強い直射日光が苦手です。直射日光に当たると葉焼け(茎が黄色や赤に変色すること)を起こしてしまいます。
- 最適な場所: レースのカーテン越しのような、明るい日陰がベストです。
- 室内: 窓際の明るい場所が適していますが、夏場の強い西日などには注意しましょう。
- 屋外: 春や秋の穏やかな気候の時期は、木陰になるような場所で管理することも可能です。ただし、真夏の直射日光と冬の寒さには当てないようにしてください。
水やり
水のやりすぎによる「根腐れ」は、リプサリを枯らしてしまう最も多い原因の一つです。かといって、乾燥させすぎも良くありません。季節に合わせたメリハリのある水やりが重要です。
- 春・秋(生育期): 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。
- 夏(休眠期): 生育が緩やかになるため、水やりの回数を少し減らします。土が乾いてから2〜3日待ってから与える程度で十分です。過湿に注意しましょう。
- 冬(休眠期): かなり控えめにします。土が完全に乾いてから数日後に、暖かい日の午前中にさっと与える程度にします。
- 葉水(霧吹き): 空中の湿度を好むため、年間を通して霧吹きで茎全体に水をかけてあげると、元気に育ち、ホコリも落とせて一石二鳥です。
用土
水はけの良さが命です。根が常に湿った状態にあると根腐れしやすくなります。
- おすすめの土: 市販の「サボテン・多肉植物用の土」が最も手軽で間違いありません。
- 自作する場合: 赤玉土(小粒)をベースに、鹿沼土や軽石などを混ぜて水はけを良くします。
肥料
肥料はたくさん必要ありませんが、生育期に与えることでより元気に成長します。
- 与える時期: 生育期である春と秋(4月〜6月、9月〜10月頃)。
- 肥料の種類: 薄めた液体肥料を、2週間に1回程度の頻度で水やり代わりに与えます。または、ゆっくり効くタイプの固形肥料(緩効性化成肥料)を土の上に置くだけでもOKです。
- 注意点: 夏と冬の休眠期には肥料を与えないでください。根を傷める原因になります。
リプサリスをおしゃれに吊るす方法とコツ

ここからは、本題であるリプサリスの吊るし方について、具体的に解説していきます。少しの工夫で、見違えるほど素敵なインテリアになります。
準備するもの:鉢とハンギングツール

まずは、リプサリスを吊るすためのアイテムを揃えましょう。
- 鉢:
- プラスチック鉢(プラ鉢): 軽量で扱いやすく、ハンギングの定番です。水分の蒸発が穏やかなので、水やりの頻度を抑えられます。
- スリット鉢: 鉢の側面に切れ込み(スリット)が入っており、通気性と排水性が抜群です。根腐れ防止に非常に効果的です。
- 素焼き鉢: 通気性が良いですが、重さがあり、乾燥しやすいため、水やり管理が少し上級者向けです。
- ハンギングツール:
- マクラメハンガー: 紐を編んで作られたハンガー。ナチュラルでボヘミアンな雰囲気になり、非常におしゃれです。
- ワイヤーハンガー/チェーンハンガー: シンプルでモダンな印象を与えます。耐久性も高いのが特徴です。
- S字フック: カーテンレールや突っ張り棒などに手軽に引っ掛けることができます。
吊るす場所の選び方
どこに吊るすかで、お部屋の印象は大きく変わります。見た目だけでなく、植物の生育環境と安全性も考慮して選びましょう。
- 耐荷重の確認: 最も重要なポイントです。水を含んだ土は意外と重くなります。カーテンレールや天井のフックが、その重さに耐えられるか必ず確認してください。
- 日当たりと風通し: 先述した「置き場所・日当たり」の条件を満たす場所を選びます。窓際でレースのカーテン越しに光が当たる場所は理想的です。
- 具体的な場所の例:
- カーテンレール: 手軽に始められる定番の場所。
- 天井: 天井用のフックを取り付ければ、本格的なハンギングが楽しめます。
- 壁: ウォールフックやラダーラックなどを活用するのも素敵です。
- ダクトレール: 照明用のダクトレールに専用のフックを付ければ、移動も簡単でおすすめです。
吊るす際の注意点
吊るして管理する上で、いくつか気をつけておきたい点があります。
- 水やりの工夫: 吊るしたまま水やりをすると、床が水浸しになってしまいます。水やりの際は、一度下ろしてシンクやベランダで水をあげるか、鉢の下に受け皿を置いて水が垂れないように工夫しましょう。
- 落下防止: 地震の揺れや、何かがぶつかった衝撃で落下しないよう、しっかりと固定しましょう。特に、人の通り道や頭上は避けるのが賢明です。
- エアコンの風: エアコンの風が直接当たる場所は、極端な乾燥を招き、植物が弱る原因になるので避けてください。
吊るして育てるメリット・デメリット
リプサリスを吊るすことの良い点と、少し注意が必要な点を整理しておきましょう。
メリット
- 省スペースでおしゃれ: 床や棚のスペースを使わずに、空間を有効活用しながら緑を楽しめます。
- 風通しが良くなる: 空中に浮いている状態なので、株全体の風通しが良くなり、病害虫や根腐れの予防につながります。
- 本来の姿を楽しめる: 自生地で木に着生して垂れ下がっているリプサリスにとって、吊るされるのは自然な姿。その魅力を最大限に引き出せます。
デメリット
- 土が乾燥しやすい: 風通しが良い分、土の乾燥は早まる傾向にあります。水やりの頻度には注意が必要です。
- 水やりが少し手間: 毎回下ろしたり、受け皿を用意したりする手間がかかります。
- 設置場所に制限がある: 耐荷重や日当たりの問題で、吊るしたい場所に吊るせない場合があります。
リプサリスのお手入れ
基本の育て方に慣れてきたら、少しステップアップしたお手入れにも挑戦してみましょう。
剪定(切り戻し)の方法と時期

茎が伸びすぎたり、形が乱れたりしてきたら剪定(せんてい)を行いましょう。
- 目的: 見た目を整えるだけでなく、密集した部分の風通しを良くして健康な状態を保ちます。
- 時期: 生育期の春(4月〜6月頃)が最適です。
- 方法: 清潔なハサミで、茎の節の少し上あたりをカットします。思い切って切り戻しても、生育期であれば新しい芽がどんどん出てきます。
増やし方(挿し木)
剪定でカットした茎を使えば、簡単にリプサリスを増やすことができます。
- 剪定した茎を5〜10cmほどの長さにします。
- 切り口を2〜3日ほど乾燥させます。
- 乾いたサボテン・多肉植物用の土に、切り口を挿します。
- すぐには水やりをせず、1週間ほど経ってから最初の水やりをします。
- その後は、根付くまで土が乾いたら水を与えるようにして、明るい日陰で管理します。
冬越しのポイント
リプサリスは寒さに弱く、日本の冬の寒さは苦手です。
- 最低気温: 5℃が目安です。これを下回るようであれば、必ず室内に取り込みましょう。
- 室内の置き場所: 窓際は夜間に冷え込むため、少し部屋の中央寄りに移動させると安心です。
- 水やり: 冬は休眠期なので、水やりはかなり控えめに。月に1〜2回程度、暖かい日の日中に与えるくらいで十分です。
よくある質問
Q. 茎がシワシワになってしまいました。どうすればいいですか?
A. 水不足のサインである可能性が高いです。まずはたっぷりと水を与えてみてください。葉水(霧吹き)も効果的です。数日経っても改善しない場合は、根腐れの可能性も考えられます。一度鉢から抜いて根の状態を確認し、黒く腐った根があれば取り除いて新しい土に植え替えましょう。
Q. 害虫はつきますか?
A. 風通しが悪いと、カイガラムシやハダニが発生することがあります。カイガラムシは歯ブラシなどでこすり落とし、ハダニは葉水の頻度を上げることで予防・駆除できます。数が多い場合は、植物用の殺虫剤を使用してください。
Q. リプサリスにも花は咲きますか?
A. はい、品種によっては白やピンク、黄色の小さくて可愛らしい花を咲かせます。適切な管理をして株が充実してくると、春先に花を楽しむことができます。
まとめ
リプサリスは、そのユニークな姿でお部屋の雰囲気を一変させてくれる、魅力的な植物です。吊るして育てることで、その美しさを最大限に引き出すことができます。
- 置き場所は「明るい日陰」
- 水やりは「土が乾いたらたっぷりと、メリハリを」
- 吊るす際は「耐荷重と水やりの工夫」を忘れずに
これらのポイントを押さえれば、初心者の方でもきっと上手に育てることができます。さあ、あなたもお気に入りのリプサリスとハンギングツールを見つけて、空間を彩る「吊るすグリーン」のある生活を始めてみませんか?
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