
美しい紫色の花と、心を癒す豊かな香り。多くの人を魅了するラベンダーを「お家で育ててみたい」と思ったことはありませんか?
「でも、ラベンダーって育てるのが難しいって聞くし、初心者には無理かも…」
そんな不安を感じている方も多いかもしれません。確かにラベンダーには少しだけコツが必要ですが、ポイントさえ押さえれば、初心者の方でも十分に美しい花を咲かせることができます。
この記事では、ラベンダー栽培が初めての方に向けて、品種選びから日々の管理、剪定、収穫後の楽しみ方まで、失敗しないための育て方のコツを一つひとつ丁寧に解説します。この記事を読めば、あなたのお庭やベランダでラベンダーの香りに包まれる素敵な毎日がきっと始まります。
ラベンダーってどんな植物?
ラベンダーは、地中海沿岸が原産のシソ科のハーブです。その最大の特徴は、なんといってもリラックス効果があることで知られる独特の香り。古くから香料や薬草として、人々の暮らしに寄り添ってきました。
ラベンダー栽培を成功させる鍵は、その生まれ故郷である「地中海の気候」をイメージすることです。
- 太陽の光が大好き
- 乾燥した気候を好む(多湿が苦手)
- 水はけの良い土壌で育つ
この3つのポイントを覚えておくだけで、ラベンダーはぐっと育てやすくなります。
また、ラベンダーにはたくさんの種類(系統)があり、それぞれ特徴が異なります。代表的な系統を知っておくと、ご自身の環境に合ったラベンダーを見つけやすくなりますよ。
| 種類 | 特徴 | 耐暑性 | 耐寒性 | 香り | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| イングリッシュ系 | ラベンダーの代表格。 香りが非常に良い。 高温多湿はやや苦手。 | △ | ◎ | 強い | 香料、ドライフラワー |
| フレンチ系 | ウサギの耳のような形の苞(ほう)が特徴的で可愛らしい。 香りはやや控えめ。 | 〇 | 〇 | 中 | 観賞用 |
| ラバンディン系 | イングリッシュ系と他の種との交配種。 丈夫で育てやすく、香りも豊か。 | ◎ | ◎ | 強い | ポプリ、クラフト |
| レースラベンダー | レースのように繊細な葉が美しい。 四季咲き性があり、長く花を楽しめる。 | 〇 | △ | 弱い | 観賞用 |
初心者におすすめのラベンダーはどれ?品種選びのポイント

日本の夏は高温多湿なため、ラベンダーにとっては少し厳しい環境です。そのため、初心者の方が最初に選ぶなら、日本の気候にも比較的強く、育てやすい品種がおすすめです。
- ラバンディン系(例:グロッソ、スーパーセビリアンブルー)
イングリッシュラベンダーの香りの良さと、スパイクラベンダーの丈夫さを併せ持つ系統です。生育旺盛で育てやすく、たくさんの花を咲かせてくれます。香りが強いので、ポプリやサシェ作りにも最適です。 - イングリッシュ系(例:おかむらさき、ようてい)
北海道の富良野で栽培されているのがこの系統です。「これぞラベンダー!」という素晴らしい香りが楽しめます。高温多湿に少し弱いですが、水はけと風通しを良くする工夫をすれば、十分に育てられます。 - レースラベンダー
暑さに強く、春から秋まで長く花を咲かせてくれるのが魅力です。他のラベンダーとは少し違う、繊細で涼しげな葉の形も楽しめます。ただし寒さには少し弱いので、冬は霜よけなどの対策が必要です。
園芸店やホームセンターで苗を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- 葉の色が濃く、生き生きしているか
- 茎がひょろひょろと伸びておらず、がっしりしているか
- 根元がグラグラしていないか
ラベンダーの育て方ステップ・バイ・ステップ

ここからは、実際にラベンダーを育てる手順を具体的に見ていきましょう。
準備するもの
- ラベンダーの苗
- 鉢(素焼きやテラコッタなど、通気性の良いものがおすすめ)
- ハーブ用の培養土(または草花用培養土に軽石を混ぜたもの)
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- スコップ、ジョウロなど
植え付けの時期と手順
ラベンダーの植え付けに最適な時期は、気候が穏やかな春(3月~5月)か秋(9月~10月)です。真夏や真冬は株が弱りやすいので避けましょう。
【鉢植えの手順】
- 鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を入れます。水はけを良くするための重要な作業です。
- ハーブ用の培養土を鉢の1/3ほど入れます。
- ポットから苗を優しく取り出し、根を軽くほぐします。根がびっしりと回っている場合は、少しだけ崩してあげると新しい土に馴染みやすくなります。
- 苗を鉢の中央に置き、周りに土を足していきます。ウォータースペース(水やりの際に水が溜まる縁の部分)を2~3cm残すようにしましょう。
- 植え付けが終わったら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。
栽培場所と日当たり
ラベンダーの栽培で最も大切なのが「日当たり」と「風通し」です。できるだけ日照時間が長く、風がよく通る場所を選んでください。
- 理想的な場所: 1日5~6時間以上直射日光が当たる、建物の南側や東側のベランダ・庭。
- 注意点: 西日が強すぎる場所は、夏場に葉焼けを起こすことがあります。また、エアコンの室外機の風が直接当たる場所は避けましょう。
水やりのコツ

ラベンダー栽培で最も多い失敗が「水のやりすぎ」による根腐れです。乾燥気味の環境を好むことを常に意識してください。
- 基本: 土の表面が完全に乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える。
- 頻度の目安:
- 春・秋: 土の表面が乾いたら
- 夏: ほぼ毎日(朝か夕方の涼しい時間帯に)
- 冬: 土が乾いてから2~3日後。水やりは控えめに。
- 注意: 受け皿に溜まった水は必ず捨てましょう。根腐れの原因になります。
肥料は必要?
ラベンダーは痩せた土地でも育つ植物なので、肥料の与えすぎは禁物です。肥料が多すぎると、かえって香りが弱まったり、花が咲きにくくなったりします。
- 植え付け時に、土にゆっくり効くタイプの緩効性肥料を少量混ぜ込んでおけば十分です。
- 追肥をする場合は、春の生育期の前と、花が終わって剪定した後に、ごく少量の緩効性肥料を与える程度でOKです。
ラベンダーを長く楽しむための重要なお手入れ
ラベンダーをこんもりと良い形で、毎年たくさんの花を咲かせるためには「剪定」という作業が欠かせません。難しく考えず、ぜひチャレンジしてみてください。
なぜ剪定が必要なの?
- 風通しを良くして、蒸れを防ぐ(特に梅雨時期)
- 株の形を整え、見栄えを良くする
- エネルギーを温存させ、翌年の花付きを良くする
剪定の時期と方法

剪定は主に年に2回行います。
- 花後の剪定(収穫を兼ねた剪定): 開花後~梅雨入り前
花が終わったら、花茎の付け根から少し下、葉が出ている部分の上で切り戻します。こうすることで、株の消耗を防ぎ、梅雨の蒸れ対策にもなります。 - 強剪定(リフレッシュ剪定): 早春(2月下旬~3月)
冬の間に形が乱れた株を整えるための剪定です。株全体の高さの半分~1/3程度まで思い切って刈り込みます。この時、必ず葉が付いている緑色の茎の部分を残して切るのがポイントです。木質化(茶色く硬くなった部分)したところで切ると、新しい芽が出てこないので注意してください。
ラベンダーの収穫と楽しみ方

自分で育てたラベンダーは、香りも格別です。ぜひ収穫して暮らしの中に取り入れてみましょう。
- 収穫のタイミング: 蕾が数輪ほころび始めた頃が、香りが最も強いベストタイミングです。晴れた日の午前中に収穫しましょう。
- ドライフラワーの作り方: 収穫したラベンダーを数本ずつ輪ゴムで束ね、風通しの良い日陰に逆さに吊るしておくだけ。1~2週間で綺麗なドライフラワーになります。
- 活用アイデア:
- ポプリやサシェ: 乾燥した花を袋に入れて、クローゼットや枕元に。
- ラベンダースティック: 生花の茎を編み込んで作る、香りのインテリア。
- バスハーブ: お茶パックなどに入れてお風呂に浮かべれば、リラックスバスタイムに。
初心者が陥りがちな失敗と対策
Q1. 葉が黄色くなったり、茶色く枯れたりしてきた…
A. 最も考えられる原因は「根腐れ」です。水のやりすぎで土が常に湿っている状態ではありませんか?水やりの頻度を見直し、土がしっかり乾いてから与えるようにしてください。また、風通しの悪さも原因になるので、置き場所を変えたり、剪定して株内部の風通しを良くしたりしましょう。
Q2. 全然花が咲かない…
A. 「日照不足」が一番の原因として考えられます。1日に5時間以上は日光が当たる場所に移動させてみましょう。また、肥料の与えすぎ(特に窒素分が多いもの)も、葉ばかりが茂って花が咲かなくなる原因になります。
Q3. 夏を越せずに枯れてしまった…
A. 日本の「高温多湿」が最大の敵です。夏越し対策として、梅雨入り前に剪定して風通しを良くしておくことが非常に重要です。また、強い西日を避けるために半日陰に移動させたり、地面の温度上昇を防ぐために鉢をスタンドに乗せたりする工夫も効果的です。
まとめ
ラベンダーを元気に育てるための秘訣は、その故郷である地中海の気候を思い出し、「日当たり・風通し・水はけ(乾燥気味)」という3つのポイントを大切にすることです。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、今回ご紹介した育て方のコツを押さえれば、きっと美しい花と豊かな香りを楽しむことができます。
手間をかけた分だけ、愛おしさも増していくのが植物を育てる醍醐味です。ぜひ、あなただけのラベンダーを育てて、その香りに癒される素敵な毎日を過ごしてみてください。



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